本記事は、全国保険医団体連合会が刊行する「月刊保団連」(2025年8月号)に掲載されています。

【月刊保団連】月刊保団連2025年8月号 - 全国保険医団体連合会

Q.勤務医だった娘が、最近眼科医として開業しました。ところが、雇ったばかりのパートの職員が出勤途中に自転車で転倒し大けがをしました。

A. 通勤災害ですから、通常は労災保険から給付があります。

Q.開業直後でまだ労災保険に加入していませんでした。治療費などは事業主が負担しなければいけないのでしょうか。

A.労災保険は強制加入ですから未加入中の事故でも通勤災害であれば通勤災害であれば労災保険から給付があります。労災保険はさかのぼって加入できます。

Q. 事故が起きてから遡って労災保険に加入した上で、治療費などが支給されるのですか。

A.そうです。さかのぼって加入すると労災保険から給付があります。詳しい手続きは労働基準監督署で教えてくれます。社会保険労務士に相談することもできます。

Q.従業員を雇用するとき労災保険に加入するように言われましたが、さかのぼって加入できるのであれば事故が起きてから労災保険に加入すればいいのではないですか。

A.そうもいきません。常勤、パート、アルバイト、派遣等の名称や雇用形態にかかわらず労働者を一人でも雇っている事業所は、労働保険(労災保険・雇用保険)への加入が義務付けられています。また、労災保険加入者のうち、1週間の所定労働時間だ20時間以上あり、かつ31日以上の雇用見込みがあれば必ず加入しなければなりません。

労働者を雇用しているにもかかわらず1年以上手続きをしていない場合は、保険給付の40%を費用徴収されます。もしも労働基準監督署などが指導したにもかかわらず手続きしないときは100%の費用徴収が行われます。

ただ、今回娘さんの「委員の場合はまだ雇用して1年以内ですから罰則なく給付があります。それに罰則規定があるのは休業給付などの現金給付のみです。治療費に罰則はありません。つまり、治療費は先生の負担なく労災保険から支給されるので労災申請すべきです。

Q. 今回、罰則はないということですが、休業中の賃金はどうなりますか。

A.労働条件通知書などを参考に平均賃金を算出し休業給付が支給されます。

Q.まだ給料は一度も払っていないのに休業給付は支給されるのですか。

A.そうです。就職直後に労災が生じた場合でも労災認定されれば、治療費の支給や休業中の所得補填など、必要な保障を受けることができます。

私は、厚生労働大臣の認可を受けて活動する労働保険事務組合の役員をしています。まだ労働保険の手続きをしていない事業所は、信頼できる社労士かご所属の保険医協会・医会に早めに相談していただきたいと思います。

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