本記事は、(株)通信文化新報が刊行する「通信文化新報」(2024年10月21日号)に掲載されています。
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取得時・定時改定・随時改定の3種類のタイミングで決まる
Q. 現在、36歳のサラリーマンです。給料明細を見ると厚生年金保険料が引かれています。結構な額が引かれているのですが、この金額はどうやって決まっているのですか。
A.厚生年金の保険料額は、標準報酬月額や標準賞与額に18.3%を掛けた金額です。ただし厚生年金の保険料は、労使折半なので会社が半分を負担します。本人から引かれる額は、9.15%となります。
Q. 標準報酬月額とは何ですか。
A. 標準報酬月額とは、従業員の健康保険や厚生年金保険料を決める基準となるものです。社会保険料の計算をしやすくするために、給与などのひと月分の報酬を一定の範囲ごとに区分したものをいいます。厚生年金保険は、上限が65万円の等級で32等級に分かれてます。
Q.毎月保険料の計算をされているのですか?
A.基本的に保険料は、1年間決まった金額が控除されます。また保険料の決定は、「取得時決定」「定時決定」「随時決定」の3つのタイミングがあります。
「取得時決定」は、入社した際に標準報酬月額を決定することです。入社日時点の報酬の見込額で決定されます。「定時決定」は、7月1日現在で事業所に在籍している人を対象に4~6月の平均報酬額を計算し、その年の標準報酬月額を決定することです。つまり入社で決まった額を定時決定で見直し、その後は毎年4~6月の報酬で決定されます。
Q.給料が上がったり下がったりしても、保険料は1年間変わらないのですか?
A.定時決定以外で標準報酬月額を変更する制度で「随時改定」があります。一定の要件を満たすような給与変更があった場合には、年度の途中であっても定時決定を待たずに変更の届出が必要となります。
Q.一定の要件とは何ですか?
A.次の3つの要件をすべて満たす場合となります。
- 昇給や降給などにより固定的賃金に変動があった
- 変動月から3カ月間に支給された報酬の平均月額に該当する標準報酬月額と、従前の標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた
- 3カ月とも支払基礎日数が17日以上である
日本年金機構のホームページに厚生年金保険料額表が出ております。
厚生年金は、将来もらえる年金額に影響があるものです。誤った計算がされていないか一度確認してみるのもよいかと思います。