
本記事は、(株)通信文化新報が刊行する「通信文化新報」(2025年3月10日号)に掲載されています。
【通信文化新報】https://www.tsushin-bunka.co.jp/backnumber/
年少者にも労働基準法が適用されます。危険な仕事・深夜労働に制限アリ
Q.現在、製造業の会社を経営しております。17歳の労働者を雇おうと思うのですが、社会保険はどうするのでしょうか?年金は20歳からなので加入する必要はあるのでしょうか?
A.一般の社会保険に加入する要件を満たしていれば、加入することとなります。
Q. 一般の社会保険の要件とは何ですか?
A. 従業員の人数によって異なります。
◆51人未満の場合
→1週間の所定労働時間や1ヶ月の所定労働日数が常時働く人の4分の3以上であること
◆51人以上の場合
・一週間の所定労働時間が20時間以上
・所定内賃金が月額8.8万円以上
・2ヶ月を超える雇用の見込があること
・学生ではない(休学中、定時制、通信制の方は加入対象となります)
上記の要件を全て満たす方です。
Q.雇用保険・労災保険はどうなるのですか?
A.雇用保険、労災保険ともに加入義務があります。雇用保険は、31日以上継続して雇用される見込みがあり、1週間の所定労働時間が20時間以上であれば昼間学生を除き、加入となります。
Q.他に気をつけることはありますか?
A.労働基準法で18歳未満の者を「年少者」として保護規定によって保護しています。
年少者には、原則として時間外労働や休日労働をさせることができません。年少者の健康や成長を保護するためです。
したがって、変形労働時間制やフレックスタイム制の適用することも原則できません。
Q.夜間業務をしても問題ないですか?
A.午後10時から午前5時まで働けません。
ただし、次の場合は認められます。
・満16歳以上の男性を交替制によって使用する場合
・交替制の事業で所轄労働基準監督署の許可を受けて30分間の深夜業をさせる場合
・非常災害等の場合
・農業、林業、水産業、保健衛生の事業、電話交換の業務
Q.いろいろ制限があるのですね。他にもあるのでしょうか。
A.年少者は、「危険な業務」「有害な業務」「重量物を取り扱う業務」「坑内労働」が禁止されています。
Q.実際に雇用するときは、気をつけることはありますか?
A.労働契約書は必ず作成してください。口約束はやめてください。労働契約を結ぶのに未成年者本人と締結しなければいけないことや、親権者の同意が必要なことなどがあります。
年少者を使用する場合には、使用者は、その年齢を証明する書類を事業場に備え付けなければいけません。
上記のほかにも、未成年者、年少者の雇用についての法令はたくさんあります。法令を遵守して、健全な発育や安全を守るように気をつけてください。
出典:厚生労働省「高校生等を使用する事業主の皆さんへ」(https://jsite.mhlw.go.jp/shizuoka-roudoukyoku/content/contents/001307499.pdf)