本記事は、(株)通信文化新報が刊行する「通信文化新報」(2024年8月26日号)に掲載されています。
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社会保険はいざというとき手厚い補償が受けられる
Q. 私は30歳独身です。何箇所かアルバイトをかけもちしてフリーターをしています。友達は1箇所で勤務していて社会保険にも加入しています。その友達に、10月から自分も社会保険に加入することになるだろうと言われました。どういうことでしょうか?
A.今年の10月より、厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業等で働く短時間労働者の社会保険加入が義務化されます。今あなたが働いている事業所には厚生年金保険の被保険者数が51人以上いますか?
Q. いえ、20人位です。それでは10月からも変わらないということですね。でも、これからの働き方について悩んでいます。現在国民健康保険に加入してますが、社会保険に加入することのメリットを教えてください。
A. まず保険料の違いがあります。社会保険料は会社との折半になるため、社会保険に加入したほうが国民健康保険と国民年金を自己負担するよりもあなたの負担する健康保険料は安くなる可能性があります。健康保険料率は都道府県によって違いますのでおおよその計算になりますが、年間10万円以上の差がでることもあります。
Q. 保険の内容には違いはありますか?
A医療機関を3割負担で受診できることは同じですが、怪我や病気で仕事を休んだ際傷病手当金として約3分の2が支給されるほか、出産一時金などが受け取れます。そのほか人間ドッグの費用補助が受けられる場合があります。受けられる保障内容も社会保険のほうが手厚くなっています。
Q.年金についても違うのですか?
A.会社の年金制度である厚生年金保険は、国民年金と厚生年金の2階建て構造になっています。将来年金を受給する際に国民年金に厚生年金分が上乗せされます。厚生年金の保険料は給与額に応じて決定されて毎月の給与から天引きされますが、会社との折半となるため、少ない負担でより多くの年金を受給する仕組みです。
Q.給与天引きであることもメリットのひとつですね。私も何回か保険料を払い忘れてしまっていたことがありますが、たとえば保険料を支払わないとどうなるのですか?
A.未納のままにしておくと、将来受け取れる年金が少なくなったり、受給できなくなる場合があったりします。滞納が一定期間続くと、医療機関の受診料が全額自己負担になるほか、口座や財産が差し押さえとなる場合もあります。
国民健康保険と国民年金には所得の減少や失業により納付が困難な場合、保険料を免除または猶予となる制度がありますので、国民健康保険は自治体に、国民年金は日本年金機構の窓口に相談してみるといいでしょう。
何と言っても公的年金は国の税金が投入されています。政府は年金制度がつぶれる時は国がつぶれる時と言っています。最も安全に公的年金にきちんと加入することをお勧めします。