【労災】労災保険の落とし穴~業務災害でも労災保険を使えない人がいる?!~

こんにちは!ダンディーすぎる社会保険労務士 曽我 浩です。

今日は「労災保険の落とし穴(社長・役員向け)」についてお話します。

普通の労働者であれば、仕事中のけがは労災が適用されます。しかし、社長や役員、いわゆる「労働者」と法律上みなされない人については、対策を取っておかないと労災が使えないことがあります。

労災事故で一番多いのは転倒事故!

7月1日から1週間、「全国安全週間」の取り組みが行われていました。7月に行う理由は、7月が1年で最も労働災害が多く発生するからです。そのため、国として安全週間を設け、労働災害が起こらないよう毎年、啓発しています。

労災の原因として最も多いのは転倒事故によります。その割合は、労災事故全体の4分の1を占めるほどです。交通事故で死亡する割合を、転倒で亡くなる方が抜いてしまいました。

転倒事故は高齢化社会も相まって、明日は我が身です。転倒しない体づくりのため、歩く・スクワット等の実施が推奨されています。また、転倒しないためにはバランス感覚も重要です。

両目を閉じ、片足でどれくらいの時間を立っていられるかやってみましょう(閉眼片足立ち)。

https://www.konami.com/sportsclub/magazine/level-of-trunk 【参照:コナミスポーツクラブ】

人間は、足ではなく「頭(脳)」のバランスで立っているといわれています。そのため、脳の衰えがあると、転倒しやすい体になってしまうということです。いざやってみると、それを実感するものです。

さらに、酷暑では熱中症のリスクが高まります。労災に限らず、今年も何万人という方が熱中症のため救急搬送されました。労働災害として、熱中症による死亡も増えているのです。

建設業の場合、事務所の労災事故は現場労災と同じ労災保険は使えません -事務所用の労災保険番号を立てることをお忘れなく!-

建設業関係での労災の落とし穴として、現場ではなく、事務所での労災が多くあります。建設業では、自社が下請けであっても、現場では元請が労災に入っていますので、たいていの場合は労災が適用されます。

しかし、いざ自社の規模が大きくなり、自社事務所を作った時、現場とは別に事務所労災保険を立て忘れという会社が多くありました。たとえば、事務員が銀行に行く途中に転んで怪我をした場合、事務所労災用の保険番号でないと適用されません。これは盲点なのです。

とはいえ、労働者のために救済はあります。入るのを忘れていたからと言って労災が使えなくなるというわけではありません。そのような場合、遡って労災に入る手続きを行います。しかし、あまりにも長期間を遡ると、会社に対してペナルティが課される場合があります。

建設事業者は、事務所用労災保険の作り忘れがないよう、気をつけてください。

●事業主・役員は労働者と同じ労災保険は使えません -労災保険の特別加入をご検討ください-

労災事故があった時に、労働基準監督署が一番気にするポイントは何でしょうか?ズバリ、「事故にあった方が労働者かどうか」です。中小企業の社長・取締役・役員は、法律上労働者とはみなされません。

しかし、実際は社長も現場に出ており、業務上事故のリスクは従業員と同程度という方は多くいらっしゃいます。そういった方を救済するため、国は労働保険の特別加入をすることを勧めています。特別加入が適用されるのは、中小企業だけです。業種にもよりますが、基本的には従業員数300人以下の事業主等であれば、加入できます。サービス業であれば従業員数100人以下、金融・不動産・小売業等にいたっては従業員数50人以下であれば適用されます。

https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040324-5.pdf 【参照:厚生労働省(特別加入制度のしおり)】

労災保険の特別加入は、国による労災保険ではありますが、現行では個人が直接国に加入申請することはできません。国が委託する「労働保険事務組合」を通して加入する必要があります。労働保険事務組合とは、事業主の委託を受けて、事業主が行うべき労働保険の事務を処理することについて、厚生労働大臣の認可を受けた中小事業主等の団体です。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/hoken/roudouhoken01/kumiai-seido.html 【参照:厚生労働省】

労働保険事務組合が労働局に届け出ることで、加入が受け付けられます。保険料は、多数ある等級から自身でお選びいただきます。最高等級は109,500円~最低等級15,324円(いずれも保険料年額)まであります。

保険料に幅があるのは、万が一休業する場合、休業補償の日額が等級によって異なるからです。しかし、治療だけであれば無料という点は、どの等級でも変わりません。

したがって、保険料を抑えるため、休業補償は重視せず、無料で治療を受けられれば良いという場合は、最低等級で加入することもあります。

ここでご注意いただきたいのは、先ほど労災の遡り加入ができると説明しましたが、それはあくまで「労働者」に限ります。特別加入の場合、遡り加入は認められません。事故に遭ってから慌てても、時すでに遅しなのです。

中小企業事業主(役員等)の方は、ぜひ労災保険の特別加入をご検討ください。

弊所では労働保険事務組合を持っており、600社を超える中小企業事業主の方に加入頂いております。

面倒で複雑な労働保険の手続きを、社労士はじめ、専門スタッフが始めから終わりまで一括してサポート。

労働基準監督署とのやり取りもネックに思われる方が多いですが、もちろんそれもすべて弊所で代行いたします。

労災保険の特別加入をご検討の際は、ぜひご相談ください。

社会保険労務士法人 曽我事務所
社会保険労務士 曽我 浩
〒 262-0033
千葉県千葉市花見川区幕張本郷1-2-24
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