本記事は、(株)通信文化新報が刊行する「通信文化新報」(2024年6月24日号)に掲載されています。
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国民年金保険料の追納は得か損か
Q. ねんきん定期便をよく確認したところ、学生時代に学生納付特例制度を使い、大学を卒業するまでの間約2年間、保険料を支払っていませんでした。将来もらえる年金額が違ってくるのならば追納したほうがよいのか悩んでいます。
A.学生納付特例制度とは、学生については20歳になっても、申請により在学中の国民年金保険料の納付が猶予される制度です。この制度を利用することで、将来の年金受給権の確保だけでなく、万が一の事故などにより障害を負った時の障害年金の受給資格を確保することが出来ます。
しかしながらこの制度はあくまでも納付の「猶予」であり、「免除」ではありません。従って、特例を申請すれば老齢基礎年金の受給資格期間には算入されますが、金額には反映されません。もし学生納付特例制度を利用していたとしたら、10年以内は追納が可能となります。10年を過ぎると追納はできないので、権利があるうちに追納を検討しましょう。追納すれば、将来老齢基礎年金を満額受給することが可能となります。
Q. 未納分だった2年分を追納するには単純計算で約40万円が必要となりますよね。このくらいの額を払うのであれば自分で資産運用した方がいいのではないでしょうか。
A. 2年間の未納で老齢基礎年金の年間受給額を計算してみると、未納なしの年間受給額よりも1年間で約4万円も変わってきます。
仮に65歳から90歳までの25年間年金を受給した場合生涯で満額を受給した場合に比べ約100万円の差額が生じます。つまり40万円の投資により100万円の利益を上げたということになります。そして、年金の追納分は社会保険料控除の対象なので、その分所得税や住民税が軽減され、節税にもなりますので実際の負担はもう少し金額はおさえられると思います。将来もらえる年金額を増やすためにも、追納をおすすめします。