本記事は、(株)通信文化新報が刊行する「通信文化新報」(2024年4月29日号)に掲載されています。

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遡って時給の差額を支払った場合の保険料はどうなるの?

Q. 弊社では、10月の最低賃金変更に伴う時給者の給与対応が間に合わず、翌月の給与でその分の差額を上乗せで支給しました。賃金が変更になると社会保険料も変更になると聞いたことがありますが、この場合はどのように手続きすればよいのでしょうか。

A.最低賃金が上がった場合は、時給は数十円しか変更がなかったとしても、たまたま残業が多かった等で、これまでの標準報酬月額と比べて2等級以上上がると、月額変更届の提出が必要になるかもしれません。

Q. そうなのですね。必要になるかも、というのは他にも何か条件があるのでしょうか。

A. 3ヶ月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者の場合は11日)以上であることが条件になります。

御社の場合、社会保険の被保険者数は100人以下なので、特定適用事業所ではありませんね。そのため、時給が上がったことにより標準報酬月額が2等級以上上がり、なおかつ3ヶ月連続で出勤日数(有給休暇取得日数も含む)が17日以上ある方が月額変更届の提出対象者となります。

Q. わかりました。弊社は20日締め当月末払いです。時給差額を支払ったのは11月末支給の給与で、10月1日~20日までの分を上乗せして支給しています。この場合は、いつから3ヶ月と考えれば良いのでしょうか。

A. 10月1日から最低賃金が引き上げられたため、新しい時給で給与が満額支払われるのは11月末払いからですね。そのため、11月末~1月末支給の3ヶ月分の給与で月額変更届を提出します。

今回の場合、11月末支給で支払った時給差額分は10月末支給で支払ったものとみなし、11月からは除いて計算します。2等級以上上がった場合は、2月分の社会保険料から変更になります。社会保険料は翌月徴収なので、給与計算では3月末支給から変更します。

従業員さんの将来受け取る年金額に反映させる大事な手続きとなりますので、必ず行うようにしましょう。