※本記事は、日刊建設タイムズ 「社労士 曽我 浩の目(110回目・2024.3.26)」にもコラムとして掲載いただいております。

労働基準監督署の臨検(調査)は「嫌だ」と思わず、働き方改革の「チャンス」と受け止めよう

 3月1日、東京労働局はビッグモーターが(従業員を)違法残業させたとして、東京地検に書類送検しました。法律上は6か月以下の懲役、または一人につき30万円以下の罰金にすることもできます。このようなことから、労働基準監督署は怖いところだと、企業側が必要以上に労基署の臨検を怖がる傾向があります。

 実際のところ、労働局としてはこれまで同社に対して繰り返し是正勧告をしたにもかかわらず全く改善しなかったため、今回の措置になりました。「働き方改革」のきっかけになった電通の過労死事件も、労働局の是正勧告を無視したために起きた悲劇でした。

 労基署の臨検を前向きに受け止め、早めに是正した職場は働きやすく、若者が定着する労働環境を実現しています。私は労基署の臨検の立ち合いを依頼されると、積極的に参加します。労基署の臨検は無料の高度な労務監査です。いまだに「労働基準法など意識していたら、経営はやっていけない」などと言う経営者がいますが、もはやそんな時代ではありません。

 

高齢化の進む建設業を若者に魅力ある産業にするために-CCUS(建設キャリアアップシステム)を、国交省は分かりやすく手続きも簡便にすべき-

 CCUS(建設キャリアアップシステム)は、以下の目的のもと、技能者の資格や現場での就業履歴等を登録・蓄積し、技能・経験の客観的な評価を通じて、技術者の適切な処遇や現場管理につなげる仕組みです。

 ①若い世代がキャリアパスの見通しを持てる

 ②技能・経験に応じて処遇を改善する

 ③技能者を雇用し、育成する企業が伸びる建設業を目指す

 当システムは、日建連・全建・建専連・全建総建など、業界団体と国が連携して普及を推進するとしており、すでに130万人以上の技能者が登録しています。

 しかし、公共事業に縁のない民間の建設会社にはほとんど普及していません。私の周りでも、かなり大きい建築会社でさえ「なんだそれ?」といったところです。普及しない原因は、手続きが煩雑であること。この手続きは国土交通省の肝いりで進められていますが、建設業振興基金が電話受付・相談を一切拒否しています。その上、経費が掛かります。

 建設業の高齢化対策の切り札になり、日本の建設業を強化させるこの制度。建設業の繁栄なくして日本の繁栄はありません。今後、国民から支持される建設業者になるためには必要な制度です。千葉県では、全建総連傘下の千葉土建が窓口になっています。または、お気軽に曽我事務所までご連絡ください。

令和6年春から改正となる主な施策

 ■労働条件明示のルール改正(令和6年4月1日

  「労働基準法施行規則」の改正に伴い、労働条件の明示事項等が変更されることとなりました。

【参照】厚生労働省 令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます

 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32105.html 

 ■健康保険料の料率変更(令和6年3月1日)※協会けんぽ

  健康保険料、介護保険料の見直しが行われ、令和6年度の協会けんぽの保険料率が決定されました。医療保険分においては、平均保険料10%が維持され、引上げとなるのが24支部、引き下げとなるのが22支部となります。神奈川支部のみ、前年と同様です。介護保険料率は1.82%→1.60%と引き下げられます。

【参照】全国健康保険協会 令和6年度都道府県単位保険料率

 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat330/sb3130/r06/240205/ 

 ■令和6年雇用保険料率(令和6年4月1日)

  令和6年4月1日~令和7年3月31日までの雇用保険料率は、令和5年の料率と同様です(変更はありません)。

【参照】厚生労働省 令和6年度の雇用保険料率について~令和5年度と同率です~

https://www.mhlw.go.jp/content/001211914.pdf

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労基署臨検ポイント 前編

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