※本記事は、日刊建設タイムズ紙にコラム「社労士 曽我 浩の目(106回目・2023.11月)」として掲載されています。

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11月は過労死等防止啓発月間-中小企業主も過労死認定 深刻な建設業

 業務災害で労働基準監督署の労災担当者がまずチェックするのが被災した人が労働者かどうかです。自営業者、家族従事者、法人役員は基本的には労災給付はありません。この方たちは総務省統計局の調査でも約1,000万人と就業者の15%を占めます。

  この方たちが労災の保護がありません。この方たちを救済するために労災保険の特別加入という制度があります。特別加入するためには労働保険事務組合に事務委託しなければなりません。当事務所では労働保険事務組合業務もしておりますから心当たりがあれば気楽にご相談ください。

 特別加入者の過労死を「独立行政法人労働者健康安全機構」で分析したところ、建設業事業主等の過労死等が最も多いことが分かりました。私の体験でも注文住宅専門の下請け建設業の社長が2人が亡くなっています。中小企業などで特別加入をしている人は少なく、しかも特別加入で労災認定される人はさらに限られます。つまり建設業者で業務が原因で脳・心臓疾患、精神障害で死亡する人はハインリッヒの法則によれば統計に表れている数の300倍はあるということです。

建設業経営者は過労死を防ぎ生活と命を守るため請負代金の値上げと自身の生活を整えることが重要

 元請けに値上げを要求することは大変です。しかし、きちんと原価計算して値上げ交渉する業者も現れました。公正取引委員会も応援しています。専門医によれば生活を整えるには何といっても睡眠、運動朝散歩が重要です。過労死の原因は簡単に言えば睡眠不足です。自殺する人はほとんどうつ状態といいます。

≪参照≫厚生労働省 労災保険特別加入者における過労死等の労災認定事案の特徴に関する研究(令和4年6月28日)

11月は「労働保険適用促進強化期間」

 労働保険は、労災保険と雇用保険の総称です。農林水産の事業の使用労働者5人未満の個人事業を除き、労働者を1人でも使用する事業主は、労働保険徴収法により労働保険の加入が義務づけられています。

 個人事業でも臨時のパート一人でも雇用すれば労災保険に加入しなければなりません。未手続事業の事業主の方は至急、加入手続をしてください。当事務所までお気軽にお問合せください。

 ★労災保険は、労働者が、業務災害や通勤災害を被ったときに療養補償や休業補償などの必要な保険給付を行う制度です。

 ★雇用保険は、労働者が失業した場合に失業等給付を行うほか、事業主の方には失業予防及び雇用の改善等の措置に対して各種助成金を支給する制度です。

36協定の締結・届出は毎年もれなく対応を!

法定労働時間を超えて労働者に時間外労働をさせる場合や法定休日に労働させる場合には、労働基準法第36条に基づく労使協定(36(サブロク)協定)の締結と所轄労働基準監督署長への届出が必要です。

 届出漏れはありませんか?毎年もれなく対応しましょう。

【令和5年】最低賃金 ー全国加重平均額は昨年度から43円引上げの1,004円ー

令和5年の全国加重平均額は昨年度から43円引上げの1,004円となりました。

≪参照≫厚生労働省 全ての都道府県で地域別最低賃金の答弁がなされました

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過労死と汚職は同じ根に咲くあだ花

社会保険労務士法人 曽我事務所
社会保険労務士 曽我 浩
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