※本記事は、日刊建設タイムズ紙にコラム「社労士 曽我 浩の目(98回目・2023.3.24)」として掲載されています。

【日刊建設タイムズ社】https://www.k-times.com/

2024年問題を前に労働局・運輸局相互通報システム始動!2024年問題早めの対応を

建設業・運送業時間外労働罰則付規制が本格化 

~建設業時間外労働720時間、運送業960時間

 これまでは、建設業・運輸業は残業時間の上限規制が猶予されていました。この猶予が2024年からなくなります。

 働き方改革を進める中で、国土交通省・厚生労働省が連携して時間外労働の規制に乗り出してきました。長時間労働・残業代未払で労働基準監督署の是正勧告を受けた会社にすぐに運輸局から監査呼び出しの連絡がありました。今回私は運輸局の監査に特別に立ち会わせていただきました。

 今後は厚生労働省、国土交通省が連携して、働き方改革のチェックをするということです。労働基準監督署の処分も送検など厳しいものがありますが、国土交通省は建設業、運輸業の許認可権があります。労基署は送検しても起訴するかどうかは検察官が決定します。ところが許認可権は国道交通省の行政事務でできます。起訴され罰金刑も深刻ですが、行政処分といえども事業停止処分は会社の存続にかかわる問題です。労働時間対策は軽視せず早めに取り組みましょう。ご不明な点は気楽にご相談ください。

世界一働きやすい会社 グーグルがメール1通で解雇

 Google は、労働者の人権を尊重し、敬意と尊厳をもってすべての労働者と接するよう取り組んでいます。」と言いながらメール1通で、世界各国の1万2千人を解雇しようとしています。アメリカならともかく、日本では客観的・合理的でなくかつ社会通念上相当でない解雇は無効です。(労働契約法) 日本では解雇は簡単ではありません。

労働契約終了トラブルは早めの相談を

 グーグルでは労働組合が結成されました。優秀な弁護団も結成されるでしょう。裁判になれば莫大な経費がかかります。労使互いの犠牲を少なくするためには日常のコミュニケーションが大切です。双方満足できる解決策はありませんが、話し合いで和解することは可能です。

 解雇は裁判になれば、労働者によほどの反社会的行為がなければ認められません。退職させたい社員がいる場合でも安易に解雇せず事前にご相談ください。多くの場合、当事務所は勧奨による退職に持ち込むことを提案しています。

出産育児一時金の額の増額について

 出産育児一時金の額が、令和5年度4月より42万円から50万円へ引き上げられることが決定しました。8万円の引き上げは、制度が創設された平成6年以来最大となります。

給与デジタル払いの解禁(施行日:令和5年4月1日)

 キャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化が進む中で、資金移動業者の口座への資金移動を給与受取に活用するニーズも一定程度見られることも踏まえ、今般、使用者が、労働者の同意を得た場合に、一定の要件を満たすものとして厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座への資金移動による賃金支払(いわゆる賃金のデジタル払い)ができることになりました。

健康保険料、3月(4月納付分)から変更!(協会けんぽ)

 協会けんぽでは、毎年3月分(4月納付分)から健康保険料、介護保険料の見直しが行われ、先日、令和5年度の協会けんぽの保険料率が決定されました。

 医療保険分においては、平均保険料10%が維持され、引き上げとなるのが13支部、引き下げとなるのが33支部となります。介護保険料率は1.64%→1.82%と引き上げられます。

令和5年雇用保険料率について

 令和5年4月1日から令和6年3月31日までの雇用保険料率は以下の通りです。

【出典】厚生労働省 ※園芸サービス、牛馬の育成、酪農、養鶏、養豚、内水面養殖および特定の船員を雇用する事業については一般の事業の率が適用されます

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運送業界における2023年・2024年問題

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