
本記事は、(株)通信文化新報が刊行する「通信文化新報」(2025年2月17日号)に掲載されています。
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税制優遇を受けながら資産形成が可能。ただし、60歳までは引き出せない
Q.最近、テレビや雑誌で耳にする「iDeCo」とはなんですか?
A.iDeCo(イデコ)とは、「個人型確定拠出年金」のことで、公的年金(国民年金や厚生年金)とは別に給付を受けられる私的年金制度です。私的年金には、企業が従業員のために実施する「企業年金」と、個人が自ら加入する「個人年金」がありますが、iDeCoは個人年金の一つです。
Q. 国民年金や厚生年金とは何が違うのですか?
A. 国民年金は20歳になると強制加入となり、厚生年金は一定の要件はありますが、会社にお勤めであれば加入しなければなりません。一方でiDeCoの場合、加入は任意で、加入の申し込み、掛金の拠出、掛金の運用の全てをご自身で行い、掛金とその運用益との合計額をもとに給付を受けることができます。一般的に国民年金を1階部分、厚生年金を2階部分といわれていますが、iDeCoは3階部分に位置するものです。公的年金に加えて老後の所得を確保したい人の自助努力を支援するための制度です。
Q.どのような制度ですか?
A.iDeCoは、自分が拠出した掛金を、自分で運用して、資産を形成する年金制度です。一定の条件がありますが、掛金は65歳になるまで拠出可能であり、60歳以降に老齢給付金を受け取ることができます。
iDeCoは、基本的に20歳以上65歳未満の全ての方が加入できます。国民年金の第1号、第2号、第3号に加えて任意加入被保険者も加入できますが、拠出限度額は月額12,000円から月額68,000円まで種別によって異なります。例えば会社にお勤めでその会社に企業年金がない場合は23,000円が拠出限度額となります。月々5,000円から始められ、運営管理機関(金融機関等)の用意する運用商品の中から自由に組み合わせて運用することができます。
Q.どんなメリットがありますか?
A.掛金全額が所得控除の対象となります。毎年の年末調整の手続きの際に、民間の生命保険料等は一部が控除の対象となりますが、iDeCoの場合は全額が控除の対象となり税金が軽減されます。また、通常は金融商品を運用すると運用益に課税されますが、iDeCoであれば非課税で再投資されます。さらに、iDeCoは年金か一時金で受け取ることになりますが、年金として受け取る場合は公的年金等控除、一時金の場合は退職所得控除の対象となります。
Q.注意することはありますか?
A.原則として60歳になるまでは受給できません。つまり拠出した掛金とその運用益を引き出すことができません。
また、給付額は運用成績により変動します。確定拠出年金は、将来の受け取れる額があらかじめ確定しているわけではなく、資産の運用はご自身の責任で行われるので、受け取る額は運用成績により変動します。長期で運用することを前提としているので、資金をいつでも引き出せるようにしたい人や60歳までに使う予定の資産形成を考えている人は、慎重に考えた方がよろしいかと思われます。
「人生100年時代」が到来し、長期化する老後にそなえ、まず、ご自身の公的年金の状況を確認し、さらに、退職金や企業年金も含めて老後の資金を考える中で一つの選択肢として検討してもよいかもしれません。
出典:iDeCo公式サイト「iDeCoってなに?」(https://www.ideco-koushiki.jp/guide/)