
本記事は、全国保険医団体連合会が刊行する「月刊保団連」(2026年8月号)に掲載されています。
【月刊保団連】月刊保団連2026年8月号 - 全国保険医団体連合会
Q.入植して1年に満たない職員が同僚に「私は院長に評価されていない」と不満を漏らしているようです。私には面と向かって言わないのですが、同僚のスタッフから報告がありました。私の医院では評価によって賃金を決めているわけではないので、スタッフの評価など考えたこともありませんでした。評価制度などを作るべきでしょうか。
A. 確かにこのまま放置しておくと職場の雰囲気が悪くなることも考えられます。評価制度を検討してもいいかもしれません。
Q.評価制度を作るとなると、コンサルタント会社など専門家に依頼すればそれなりのものができるのでしょうか。
A.それも1つの方法ですが、専門のコンサルタントに頼んだから安心というわけではありません。
30人ほどのスタッフが勤務するある医療機関で、コンサルタント会社に給与体系の指標を作成してもらいました。かなりの費用をかけて作成してもらいましたが、結局1年もすると実情に合わなくなりました。そういうこともあるので、初めから完璧なものを目指すのではなく、スタッフとよくコミュニケーションを取りながら評価基準の策定を進めていくのがいいのではないかと思います。
Q.具体的にはどうすればいいのでしょうか。
A.評価によって賃金を決めているわけではないとおっしゃいましたから、先生がスタッフを評価する上で何を基準にしているかを「見える化」することから始めてはいかがでしょうか。
例えば元気よく挨拶する、電話での声が明瞭、勤怠状況、時間厳守、身だしなみ・清潔感、業務の正確性、業務処理スピード……など初歩的なことでいいと思います。やってみると分かりますが、これがなかなか大変です。評価の頻度は半年に1回とするなど、事業所によって異なりますが、毎月給料日に評価をフィードバックしているところもあります。スタッフとの面談を設定している事業所もあります。時間もそれぞれですが、10分程度の場合が多いようです。これでもやってみると意外に時間と労力がかかりなかなか大変です。
Q.それで不満は解消されるのでしょうか。
A.事はそれほど簡単ではありません。能力のない人ほど自分を高く評価する傾向があるといわれ、逆に能力のある人ほど謙虚で自分を低く評価する傾向があるともいわれています。その不満を口にするスタッフは入職してから間もないため、自分を高く評価しすぎているのかもしれません。仕事の困難さを理解すると謙虚になり、不平を言わなくなる可能性もあります。
Q.そういうことを期待できそうな人ではないように感じます……。
A.あくまで傾向ですが、アメリカなどでは自分はあれもできるこれもできると上司に主張する人もいるといわれていますが、他方、日本人は自信過剰な人だと他社から思われることをよしとしない人が多いようです。
Q.トランプ大統領は、かなり自分を高く評価しているようです。
A.6月にフランスで行われたG7サミットでの記念撮影に1時間遅刻し、「俺がボスだ」と発言するなど理解しがたい振る舞いが見られます。まさに「誰が見てもとりどころなき男来て/威張りて帰りぬ/かなしくもあるか」です。
Q.うまい短歌ですね。誰の作ですか。
A.100年以上昔の石川啄木の歌です。
