
本記事は、全国保険医団体連合会が刊行する「月刊保団連」(2026年6月号)に掲載されています。
【月刊保団連】月刊保団連2026年6月号 - 全国保険医団体連合会
Q.当院には30人ほど職員が勤務しています。定年は65歳と定めていますが、優秀で定年後も引き続き働いてもらいたいと思っている人がいます。何か気を付けることはありますか?
A. 基本的には問題ありません。イギリス、フランスやドイツなどでは、「年齢を理由に解雇すること」は法律で原則禁止されています。アメリカでも同様です。睡眠学の権威であるスタンフォード大学の西野精治教授は70歳を過ぎていますが、定年はありませんから今なお現役で働いています。世界的には、本人に働く意欲と能力がある場合、経営者が年齢を理由に退職させることはできなくなっています。
Q.そうはいっても、定年を機に退職してもらいたい人もいます。65歳以降も働いている人がいるのに別の人に対して定年を理由に退職してもらうことができますか。
A.定年は65歳ですからそれ以上は雇用の義務がないとして退職してもらうことは理論的にはできます。しかし、心身の不調により業務遂行が困難である場合や事業縮小業務の消滅により、そのポストも存在しなくなったなど、合理的な理由がないと差別的取り扱いとしてトラブルになります。
また、定年後の再雇用の場合は、有期雇用でも5年を超えるようになると無期転換権が発生します。他方、先生が無期転換を希望しない場合は、特例措置を申請しておく必要があるため、管轄の労働局に第二種計画認定・変更申請書を提出します。併せて高齢者雇用推進者を選任したり、勤務時間制度の弾力化を図ったりなど高年齢者が働きやすくなるための対策を講じるといいでしょう。ただ、この制度は自院での定年退職後雇用した場合には適用できますが、初めから自院の定年を超えて新しく雇用した場合には適用されず、無期転換となります。
Q.でも、働いて給料が高くなると年金が減らされませんか。
A.2026年4月から老齢年金の支給調整額が大幅に引き上げられました。老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額との合計が65万円までは調整されません。老齢厚生年金はほとんどの人が月額15万円以下です。月給40万円ほどまでは年金は満額支給されます。
Q.年収700万円にもなると、年金が減らされますね。
A.いいえ、減額されず受給する方法があります。例えば、老齢厚生年金が15万円、年収700万円程度の場合、まず賞与を1回で400万円支払います。年金支給額の判定においては、賞与が150万円を超える場合でも150万円と見なして年金減額(支給停止)が計算されます。賞与150万円は1カ月当たり12万5000円となります。年収700万円のうちの賞与400万円を引いた残りの300万円を12カ月で割ります。そうすると、月給25万円+12万5000円を足すと、月額報酬は37万5000円です。これに老齢年金15万円を合わせると、52万5000円で65万円以下のため、老齢厚生年金は全額支給されます。
