本記事は、全国保険医団体連合会が刊行する「月刊保団連」(2026年2月号)に掲載されています。

【月刊保団連】月刊保団連2026年2月号 - 全国保険医団体連合会

Q.マスコミ報道などで日本維新の会に所属する一部の議員による国民健康保険料(以下、国保料)逃れが話題になっています。どういうことですか。

A. 通常、国保料は医療分保険料、支援金分保険料、介護分保険料などから構成されています。加入者が負担する年間の国保料には、上限額となる賦課限度額があります。例えば、千葉市では上限額が109万円です。また、社会保険への加入資格を満たしている場合は、社会保険が優先となり国民健康保険を脱退することになります。近年、「国保の都道府県化」による国庫負担率の減少や自治体の独自減免措置の抑制があり、被保険者の国保料の負担増が続いています。安定した収入が無く国保料が払えず、滞納し差し押さえにあった事例は2023年度だけで約33万件あるとの報道もあります。

Q.維新の議員は、どうやって保険料の高い国民健康保険の負担から逃れようとしたのですか?

A.現時点で明確なことは分かりませんが、以下のスキームが推測されます。まず。社会保険に加入するために法人を作り、法人の理事に就任します。理事になると法的には報酬ゼロでも社会保険に加入できます。そして、標準報酬月額を5万8000円と設定します。保険料は健康保険・介護保険料込みで月額6600円で、年間わずか7万9200円となります。議員の国保料は最高額となるため、年間100万円位増の国保料節約になります。

Q. 標準報酬月額が5万8000円というのは最低賃金法違反ではないのですか。

A.理事ですから労働者ではありません。従って最低賃金法の適用を受けません。

Q.こんな法の網をくぐるような行為がまかり通れば、皆まねしませんか。

A.大変由々しきことですが、近頃上記スキームの指南を専門にする業者も現れています。先日、親しい税理士から連絡がありました。「個人事業主で国保料の最高額を支払っている人から相談があった。相談者は、知人から法人に会費を支払うだけで社会保険に加入できると説明され、加入するように勧められたと言っているが大丈夫か?」との内容でした。私は「勤務の実態もないのに社会保険に加入することはまずいのではないか」と答えました。その後連絡があり、税理士から健康保険制度のあり方などを説明したところ、社会保険への加入は断ることにしたそうです。実際、保険料が100万円近く節約できる場合もあるため、この手法が広がることを危惧します。

Q. この間、維新の会は現役世代の社旗保険料引き下げを盛んに訴えていましたが……。それにしても社会保険の負担は大変です。

A.日本は超高齢社会に突入していて、日々高齢化も進んでいますから医療・介護費、年金が国家予算に占める割合が高くなるのは当然のことです。問題は財源です。医療保険には国費が投入されています。社会保険料を引き下げるには、医療保険と同様に国費を投入するしかありません。例えば、際限なく増やされている防衛費の削減も現実的な方法です。また、憲法違反ともいわれている政党助成金を廃止し医療費に回すことも1つかもしれません。

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