
本記事は、全国保険医団体連合会が刊行する「月刊保団連」(2025年12月号)に掲載されています。
【月刊保団連】月刊保団連2025年12月号 - 全国保険医団体連合会
Q.職員が出産し、育児休業を取得したいとの申し出がありました。期間はどのくらい取得できるのですか。
A. 例えば、労使協定・就業規則で3歳まで育児休業を認めた場合は、3歳まで取得できます。
Q.通常は1年ではないのですか。
A.雇用保険から「育児休業給付金」が支給されるのは1年です。ただし、保育園に入れなかった時はさらに6ヶ月延長できます。この間は雇用保険から育児休業給付金が支給されます。そして、さらに保育園に入れない時は2歳になるまで再延長できます。この間も、育児休業給付金は支給されます。
Q. 育児休業給付金はどのくらいになりますか。
A.育児休業開始前6ヶ月分の賃金を180日で割ったのを休業開始時賃金日額といいます。初めの180日はこの額の67%分、181日目以降は50%分が支給されます。また、この期間の社会保険料については、事業主も育児休業を取得している本人も免除されます。
Q.3年も支給される可能性があるのですか。
A.いいえ。育児休業給付金が支給されるのは、最長で子が2歳になるまでです。社会保険料は3歳まで免除されます。
Q. 2歳まで育児休業給付金が支給され、かつ社会保険料まで免除されるのであれば育児休業を子が2歳になるまで延長する人が増えませんか。
A.残念ながら、私の依頼主の事業所でも、従業員がわざわざ入所しにくい保育園に申し込み、「入所保留通知書」や「入所不承諾通知書」を受理し延長する事例がありました。そのため、2025年4月以降は従来の入所保留通知書に加えて、「速やかな職場復帰のための保育所利用申し込み」をハローワークに提出し、本当に近隣に入所可能な保育所がないのか、またどうして入所できないのか確認がされるようになりました。育児休業及び給付金の延長を目的として、保育所等の利用の医師がないにもかかわらず市区町村に入所を申し込むことは、制度趣旨に沿わない行為と見なされています。
Q.医療機関は女性職員が多く、かつ現在の日本社会では育児は女性中心になりがちです。そのしわ寄せが、我々医療機関の経営者に及んでいると感じます。
A.確かに性別役割分担意識がまだまだ根深いですね。しかし、最近の新卒男性の8割が育児休業取得を希望しているとの報道もあります。そういった人を応援する意味で、2025年4月から出生時育児休業給付金または育児休業給付金と併せて出生後休業支援給付金が創設されました。
一定の要件を満たせば、最大28日間の給付率が引き上げられます。
用件は、子の出生後8週間以内に、両親がそれぞれ14日以上の育児休業等を取得した場合に適用されます。支給額は育児休業給付金に加えて、休業開始時賃金日額の13%が上乗せ支給されます、この間は税金も社会保険料も免除され、最大28日間の給付率が合計80%(手取りで10割相当)になります。
