本記事は、全国保険医団体連合会が刊行する「月刊保団連」(2025年2月号)に掲載されています。

【月刊保団連】https://hodanren.doc-net.or.jp/publication/gekkan/2024-04/

自分の年収850万円以下であれば遺族年金を受給できる

Q.公立病院で医師をしている友人は、夫が亡くなり遺族年金を受給しています。私は開業しており、夫は民間病院に勤めています。もし、夫に万が一のことがあった時は私も遺族年金を受け取れるのでしょうか。

A. 先生の場合はおそらく無理でしょう。先生の夫は厚生年金に加入しており遺族厚生年金の受給要件は満たしていますが、先生の開業医としての年収が850万円以上なので受給できません。

Q.友人は公立病院に勤めているので年収は1000万円以上ですよ。私も彼女も63歳です。

A.遺族年金は、年収850万円以上でもおおむね5年以内に年収が850万円未満となると認められる事由(退職または廃業など)がある方は受け取れます。その友人は、定年退職が65歳であるということが理由で受け取れたのだと思います。先生は開業医ですから、仕事をしている限り今の収入が続く場合は受給できません。

Q. それでは私が生涯現役であれば遺族年金は受け取れないということですか。現在、私の医院では娘も医師として働いています。将来は娘に医院を任せ、私は画家を目指すことも考えています。画家になり年収が下がれば遺族年金を受給できるのですか。

A.受給できます。日本で学び医師になった台湾の許武勇は「体のある命は結局、あっという間に終点にたどり着いてしまう。芸術こそが永遠の命なのです」と語って画家としても活躍しました。ゴッホの主治医のポール・ガッシェもアマチュア画家でした。

Q.遺族年金を受給後、仮にまた医師に復帰し年収が850万円を超えた場合、年金はどうなりますか。

A. 遺族年金を受給している人は、仮に年収が増えて850万円を超えても年金が減額・支給停止されることはありません。

Q.友人は退職後、海外にいる娘と暮らすことも検討しています。この場合、年金はどうなりますか。

A.海外であっても日本政府の責任で送金され受給できます。

Q. 私は国民年金しか加入していません。老齢基礎年金はどのくらいになりますか。

A.原則、65歳から老齢基礎年金を受け取ることができます。40年間加入し満額でも年間81万6000円です。ただし、繰り下げれば増額されます。支給開始を繰り下げると1カ月あたり0.7%増額し、最高75歳から受給すると184%まで増えます。

Q.収入があると年金は減らされると聞きますが、どのくらい減らされるのですか。

A.老齢基礎年金は収入に関係なく、減額もなく支給されます。減額や支給停止になるのは、在職していて厚生年金に加入し、老齢厚生年金を受給している場合です。「繰り下げて何歳から受けると得か」と聞かれますが、何歳まで生きるか定かでないので正解はないと思います。

私は年を取ってから増えても仕方がないと思って65歳から受給しました。