本記事は、(株)通信文化新報が刊行する「通信文化新報」(2024年11月18日号)に掲載されています。
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後期高齢者医療制度は現役世代からの仕送りで成り立っている。偏りの大きさ是正と次世代育成のため、全世代型社会保障へ移行する試みです
Q. 私は現在76歳で、妻と二人で暮らしております。今年の4月から後期高齢者医療の保険料が上がるとの話を聞きました。保険料が上がる理由を教えて下さい。
A.出産育児一時金をご存知でしょうか?子育て世代の被保険者及び被扶養者が子を出産した際に、一時金として1人50万円(産科医療補償制度に加入していない医療機関等で出産した場合または在胎週数22週未満の分娩の場合は48.8万円)を加入している保険者から支給されます。令和5年4月迄は1人42万円(産科医療補償制度に加入していない医療機関等で出産した場合または在胎週数22週未満の分娩の場合は40.8万円)でした。
この改正に伴う増額部分について、子育てを全世代で公平に支えあうという目的で、後期高齢者医療制度が出産育児一時金に係る費用の一部を支援する仕組みを導入したものとなります。
近年、後期高齢者1人当たりの保険料と現役世代1人当たりの後期高齢者への仕送額については、少子高齢化による人口構成の変化により、制度導入時と比べ後期高齢者は1.2倍・現役世代は1.7倍に増えており、現役世代の負担がより重くなっておりました。そこで両者の伸び率が同じとなるように見直されたものとなります。
従来の後期高齢者保険料負担率は、公費が5割・現役世代4割・後期高齢者の保険料負担が1割となっておりました。
Q. 制度改正に伴う、新たな保険料の負担はいくらになりますか?
A. この度の改正で、出産育児一時金の費用の内一部(7%)を、後期高齢者の保険料から支援することになります。
なお、令和6・7年度については、急激な増加を和らげるため、後期高齢者の負担は半分の3.5%となっております。実際に保険料額に反映される基準ですが、年金収入153万円以下の方(定額部分の均等割のみ負担している方)につきましては、制度見直しに伴う増加の対象外となります。153万円を超え211万円以下の方につきましては、収入に応じて負担する定率部分の所得割について、制度見直しに伴う増加の対象外となります。収入が高い方(約1,000万円を超える方)は、保険料負担の年間上限額(賦課限度額)について、段階的に引き上げられます。令和6年度は73万円、令和7年度は80万円となります。