本記事は、(株)通信文化新報が刊行する「通信文化新報」(2024年3月18日号)に掲載されています。
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専業主婦の熟年離婚、年金はどうなる?
Q. 61歳主婦です。元々不仲の夫が65歳で定年退職し、毎日家にいることが耐えられず、離婚を考えています。若いころに数年会社勤めをしていただけで結婚後はずっと専業主婦をしていたため、貯金と年金が頼りです。私がもらえる年金はあるのでしょうか。
A.老後の年金には老齢基礎年金、老齢厚生年金があり、受給できるのはどちらも原則65歳からです。受給資格を得るためには保険料納付済期間と免除期間を合算して10年以上あることが必要です。夫の扶養に入っていた期間が10年以上あるならば、被扶養者(第3号被保険者)期間だけでもその条件は満たしているでしょう。また、数年の会社員期間があるとのことですが、その時厚生年金に加入していれば、老齢厚生年金が支給されます。
Q. 会社勤めは3年程度ですが。
A. 金額は少ないかもしれませんが、厚生年金は加入期間が1か月でもあれば支給されます。さらに、女性で昭和41年4月1日以前生まれかつ厚生年金に1年以上加入していれば、「特別支給の老齢厚生年金」も受給できます。支給開始年齢は生年月日に応じて変わり、例えば令和6年に62歳になる昭和38年生まれの女性であれば、63歳から65歳になるまで受給できます。また、今回のケースでは「3号分割」という年金分割制度も使えそうです。平成20年4月1日以降、被扶養者であった期間があり、離婚後2年以内に請求すれば、夫の厚生年金加入分を被扶養者が受け取れる制度です。
Q. 結婚して35年なので、平成20年にはすでに被扶養者でした。今離婚しても15年分くらい分割されるということですね。
A. はい。これも妻自身が老齢基礎年金の受給資格を満たしていることが条件です。
Q. つまり、私は65歳までの特別支給の老齢厚生年金と、65歳からの老齢基礎年金と老齢厚生年金、3号分割の厚生年金がもらえるんですね。
A. まだあります。夫は20年以上会社員とのことなので、配偶者加給年金を受給していませんか?妻が65歳になった時点でその加給年金は打切られ、代わりに妻の老齢基礎年金に「振替加算」が支給されます。その年金は本人の権利となり、離婚しても妻が受け取ることができます。
Q. 65歳になるまで耐えるほうがお得ということですね。
A. 実は過去の勤め先で厚生年金基金に加入していたというケースもあります。一度年金事務所にご相談に行かれてはいかがでしょうか。尚、今回便宜上「夫・妻」と表現しましたが、立場が逆(専業主夫)でも同様です。