※本記事は、日刊建設タイムズ紙にコラム「社労士 曽我 浩の目(108回目・2024.1月)」として掲載されています。

【日刊建設タイムズ社】https://www.k-times.com/

働く時間が減ると賃金も減る?年の初めに考える

 建設業、運送業では時間外労働の猶予が2024年4月から撤廃されます。こうすることにより建設業、運送業の賃金が下がるという不安が広がっています。実は歴史的に見ると労働時間が短縮すると賃金は上がっています。近くではバブルの時、とび土工の親方は賃金日額5万円になりました。そうすると稼げるのでとび土工の親方は出勤日数が減り、人手不足になり、ますます賃金日額が上昇することがありました。

 運送業でも同じです。労働時間と賃金の関係は不思議です。「はたらけどはたらけど猶わが生活(くらし)楽にならざりじっと手を見る」(石川啄木)これが多くの方の実感でしょう。しかし、長時間労働に耐えているだけでは賃金は上がりません。少子高齢化も止まりません。働き方改革に向けた年にしたいものです。

 ちなみにドイツの年間平均労働時間は1,368時間、日本は1,713時間です。ドイツは日本より年間約2ヶ月労働時間が短い。それでいて賃金は日本は年間約460万円で、ドイツは850万円です。日本のGDPはドイツに抜かれ世界4位となっています。

 

2024年問題 残業時間の猶予終了 ―建設業、運送業 時間外労働強化年-

 建設業の時間外労働(休日労働は含まず)の上限は、原則として、月45時間、年360時間となり、臨時的な特別の事情がなければ、これを超えることはできなくなります。

 臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、時間外労働は年720時間以内で、時間外労働+休日労働は月100時間未満、2~6か月平均80時間以内とする必要があります。尚、原則である月45時間を超えることが出来るのは、年6か月までです。

強化と言っても運送業は時間外労働の上限が960時間のみ

  時間外労働の限度が年間960時間ということは、月平均80時間の時間外労働です。過労死ラインです。これでは若者は運送業にはきません。賃上げが必要です。賃上げするには国の定める標準運賃を守らせることです。政府がその気になればできることです。

令和6年から法改正となる主な施策

 ■労働条件明示ルールの改正(令和6年4月1日)

  2024年4月から、労働契約の締結・更新のタイミングの労働条件明示について、4つの事項が追加されます。

【参照】厚生労働省 令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます

 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32105.html 

 ■自動車運転者の労働時間改善告示の改正(令和6年4月1日)

  時間外労働の上限規制の適用が猶予されていた自動車運転者業務について、年960時間の上限が適用されるとともに、拘束時間や休息時間等についての基準の改正内容が示されました。

【参照】厚生労働省 自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/roudoujouken05/index.html (厚生労働省HP)

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