※本記事は、日刊建設タイムズ 「社労士 曽我 浩の目」にもコラムとして掲載いただいております。

過労死シンポジウム~原因は長時間労働よりいじめ・パワハラ~ 

 毎年11月は過労死等防止啓発月間で、全国でシンポジウムが行われました。

私は千葉県で行われたものに参加しました。

印象深かったのは、過労死の主な原因が長時間労働からいじめ・パワハラになったことでした。

全国的にもいじめ・パワハラがテーマのところが圧倒的に多数で、過労死家族の会の報告も2件あり、そのすべてがいじめ・パワハラによる過労自殺でした。

 過労自殺が労災認定されるのは80件前後ですが、実際には仕事が原因の自殺は2000人と言われています。

日本では毎年2万人が自殺します。このうち半数の1万人について原因はうつ病です。

過労死は労働者・その家族にとって、とても悲しいことです。

 また、会社にとっても大変なリスクを負うことになります。

ある運送会社では過労死認定された遺族から4億円の慰謝料請求がなされました。

示談になり裁判所から2億円でどうですかという提案がありました。しかし、中小企業にとっての2億円はとてつもない額です。

うつ病対策は企業にとって重要課題

~労働者も健康保持義務 対策は「睡眠・運動・起床1時間以内の朝散歩」~

 ほとんどの事業所でメンタル疾患に悩む従業員を抱えています。

会社でのいじめ・パワハラが原因という主張もありますが、労働者にも健康保持義務があります。

「運輸業・郵便業」が労災の請求件数、支給決定件数ともに最多となり、「卸売業・小売業」、「建設業」が続きます。

労災認定される件数と実際に精神疾患で悩んでいる人の数では、かなり隔たりがあり、労災認定などされない人もかなりいます。

しかし、労災認定されなくても精神疾患で病んでいる人の悩みは深刻です。

建設業・運送業で精神疾患が多く発生するのは長時間労働による睡眠不足が原因です。

 ある時、パワハラでうつ病になった人が労災申請したいと相談に見えました。

私がその方の睡眠事情を訊ねると、なんと朝6時に寝て昼頃に起きるということでした。

これではうつ病になるのは当たり前です。精神疾患を治すには精神科医に早くかかり生活を整えることです。

ベストセラー作家で人気沸騰中の精神科医・樺沢紫苑氏も「睡眠、運動、朝散歩」の重要性を訴えています。

会社に安全配慮義務があると同時に労働者にも「健康保持義務」があります。

従業員の健康ほど大切なものはありません。

健康に働ける職場環境を、労使で協力して作っていきたいものです。

建設業の事業主様も労災保険給付がある特別加入制度について

政府による労災保険は本来、労働者の業務・通勤による災害に対して給付を行う制度ですが、

労働者以外でも実情から保護する必要性が認められる方は、特別に任意加入することができます。

※今回のご紹介は建設業向けですが、それ以外の業種の事業主等も特別加入できます

加入条件

①建設業を営む経営者とその家族

(本人と同居の家族従事者のみ)

②建設現場で作業に従事する従業員を1名以上300名以下雇用

(事業主・役員とその同居の家族、事務員はこの場合の従業員とはみなしません)

③労働保険事務組合に委託する

国から委託された労働保険事務組合が労働基準監督署へ

手続きします。事業所が単独で申請することはできません。

詳細は弊所事務組合へお問い合わせください。

(※お申込み・更新時、年額保険料のほか別途、年会費がかかります。)

◆特別加入のメリットと料金

メリットは保険料額に関わらず、業務災害なら治療費が全額タダになることです!

他にも・・・

・入院した場合の休業補償

・障害が残ったら障害補償

・死亡時の葬祭費用、遺族補償等 カバーが充実しています!

~料金表~

表参照:厚生労働省

特別加入は通常の労災とは異なり、事故が起きてからの加入や、期間をさかのぼっての加入はできません!

未加入の方はお早目のご検討を!

関連動画はこちら

働く人は従業員さんも社長さんも、労働保険に加入しよう!ー11月は労働保険適用促進強化月間

社会保険労務士法人 曽我事務所
社会保険労務士 曽我 浩
〒 262-0033
千葉県千葉市花見川区幕張本郷1-2-24
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