本記事は、(株)通信文化新報が刊行する「通信文化新報」(2024年8月12日号)に掲載されています。
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「事前確定届出給与」を活用
Q. 私は現在65歳で会社の代表をしています。社会保険にも加入していますが、会社の報酬が高いと貰える年金が減らされると聞きました。どうしたらよいでしょうか。
A.在職老齢年金という仕組みによって、厚生年金が支給停止されて全額受け取れない可能性があります。月々の年金と給与はどのくらい受け取っていますか。
Q. 老齢基礎年金が70,000円くらいで、老齢厚生年金が120,000円くらいです。給与は80万円です。私の場合は全額受け取れるでしょうか。
A. 在職老齢年金の支給停止額を計算すると、あなたの場合は残念ながら老齢厚生年金は1円も貰えません。
Q. そうなのですね。長年納めてきた保険料も無駄にはしたくないですし、給与を下げるしか方法はないでしょうか。
A. 「事前確定届出給与」という制度はご存知でしょうか。あなたは年収にすると960万円なので、それを給与は毎月20万円、役員報酬として年に一度720万円支払うとします。標準賞与額は支給1回につき150万円が上限となり、150万円を超えるときは150万円とされます。
在職老齢年金の支給停止額は、(基本月額+総報酬月額相当額―50万円)×1/2です。基本月額とは、老齢厚生年金の年額(老齢基礎年金・加給年金は除く)÷12で計算します。総報酬月額相当額は、標準報酬月額(月給)+その月以前の過去1年間の賞与÷12で計算します。50万円の部分は、賃金の変動に応じて毎年度改定されるものです。
そうすると過去1年の賞与は150万円で計算されますので、12ヶ月で割ると125,000円となります。標準報酬月額は200,000円なので、老齢厚生年金の120,000円を足しても50万円を下回り、年金が全額受け取れることになります。事前に届出しておけば、経費として損金算入できます。
Q.それは凄い制度ですね!是非検討したいのですがどのように動いたらいいですか。
A.事前確定届出給与は、株主総会等の決議により決定し、届出期限までに税務署に提出しなければなりません。詳しくは税理士に相談してみてはいかがでしょうか。