※本記事は、日刊建設タイムズ紙にコラム「社労士 曽我 浩の目(117回目・2024.10月)」として掲載されています。

【日刊建設タイムズ社】https://www.k-times.com/

【労基署の臨検増加】価格転嫁が難しい中小建設業 残業代未払いで頭抱える

 -就業規則の見直しを-

 労働基準監督署の臨検(調査)に立ち会いました。今回の重点は残業代の計算でした。

 建設業の場合は労働時間の把握が難しく、どこからが労働時間かはっきりしません。特に会社に一度集まって現場に行く時間は何でしょうかとなります。移動中全く仕事の話をしないということであれば移動時間として処理され労働時間にはカウントされません。

 今回は残業代の計算に無事故手当を参入していないなどミスが見つかり6か月さかのぼって残業代を支払うよう是正勧告が出されました。本来であれば3年さかのぼるところ将来に向かって直せばいいということで6か月遡及ということになりました。

 ー残業代計算で最重要は1時間単価の算出方法

 法的には時効は3年なのになぜ6か月でいいかということですが、労働基準監督署は取り立て機関ではないので6か月でいいということです。社長が監督官に聞きました。「労働者が本当は3年さかのぼって残業代を請求できることを知り請求してきたらどうするのだ。」監督官としては苦しいところでしょうが、今回は今までこれを機に3年請求してきた労働者はいないということでした。しかし、法的には3年さかのぼれるのですから残業代の計算は今のうちに見直してください。

 実際にたった一人の労働者に3年さかのぼり2000万円支払った運送会社があります。解決には下請け代金の値上げしかありません。しかし、元請けにはとても言えないということで頭を抱えていました。残業代計算で心配な方は早めにご相談ください。まずは就業規則の見直しです。

有給休暇5日は事業主の義務 労基署も厳しくチェック

 ≪参照≫30年で若者の恋愛離れが加速/欲しいものは「お金・時間・自由」、恋人は10位に【博報堂生活総研調査】

 博報堂生活総研調査によると、30年で若者の恋愛離れが加速し、欲しいものは「お金・時間・自由」となっています。

 労働時間短縮と賃上げが最重要課題です。有休がとれない会社は若者から見放される可能性が高いです。有給休暇5日は事業主の義務です。労基署も厳しくチェックしています。



【協会けんぽ】被扶養者資格再確認について

 協会けんぽでは、健康保険の被扶養者となっている方が、現在もその状況にあるかを確認するため、毎年、被扶養者資格の再確認を行っています。

 令和6年4月1日において、18歳以上である被扶養者の方が対象です。ただし、令和6年4月1日以降に被扶養者となった方・任意継続健康保険の被扶養者の方は、確認の対象外となります。

 すでに被扶養者資格を喪失していると分かった場合は、協会けんぽからの扶養調書の書類を待たずに削除の手続を行いますので、早めに当事務所へご連絡ください。

【令和6年】最低賃金

 

 令和6年度地域別最低賃金額の改定について、全ての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました。

 全国加重平均額は昨年度から51円引上げで、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額となり、改定額の全国平均加重額は1,055円(昨年度1,004円)となりました。

 答申された改定額は、都道府県労働局長の決定により、10月1日から令和6年10月から、11月1日までの間に順次発効される予定です。

 ≪参照≫厚生労働省 全ての都道府県で地域別最低賃金の答弁がなされました

 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42150.html

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