本記事は、(株)通信文化新報が刊行する「通信文化新報」(2024年5月27日号)に掲載されています。

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突然のケガや入院で高額な医療費を支払ったとき

Q. 私は先週の週末、私用で出かけ先からの帰り道で、猛スピードを出して走行してきた自転車と衝突してしまい、大腿骨を折るケガをしました。相手は逃走してしまい、健康保険を使ったのですが、相手がわからず自己負担だけで入院となり、予期せぬ高額な医療費を支払いました。現在入院中ですが、今後の医療費が心配です。

A.【高額療養費】という健康保険の保険給付制度があります。

Q. 高額療養費ですか?具体的にはどんな制度なのですか?

A. 被保険者・被扶養者が、同一の医療機関に対して1ヶ月に窓口で支払った一部負担金や自己負担額が、自己負担限度額を超えたときに、協会けんぽまたは健康保険組合へ申請することで、超えた分が後日に払い戻されるという制度です。

Q. なるほど。母も近いうちに入院し手術を受けます。支払うのに大変ですが、あとで返ってくるのですか?

A.高額な医療費を窓口で負担することが事前にわかっている場合には、【限度額適用認定】を申請し、交付された限度額適用認定証を医療機関窓口に提示することで、窓口での負担額そのものが自己負担限度額までにとどめられます。

Q.それはすごく助かる制度ですね!今回はすでに医療費を支払っているので、高額療養費を申請することになると思いますが、どんな医療費でも高額療養費の支給対象になるのですか?

A.保険適用される診療に対し、被保険者・被扶養者が支払った自己負担額が対象となります。医療にかかっていなくても必要となる食費・居住費や、患者の希望によってサービスを受ける差額ベッド代・先進医療にかかる費用等は、高額療養費の支給対象となりません。

Q. わかりました。ちなみに、高額療養費の支給申請は、いつまでさかのぼって行うことが可能ですか?

A. 支給申請ができる期間は、診療を受けた月の翌月の初日から2年です。つまり、2年間は過去にさかのぼって支給申請することができます。

Q. そうなのですね。高額療養費が実際に支給されるまではどのくらい時間がかかりますか?

A.受診した月からおよそ3か月程度です。高額療養費が申請されると、協会けんぽまたは健康保険組合は、支給要件、支給額などを医療機関で確定し提出されたレセプト(診療報酬明細書等)」を1件ずつ確認し、1人1ヶ月ごとに医科・歯科別・入院・通院別などと分類したうえで、それぞれのレセプトごとに支給要件を審査をするためです。

Q.社会保険の制度には、他にもあまり広く知られていないいろいろな保険給付があるのですね。知らないと損しますね。みんなに知らせたいです。