本記事は、(株)通信文化新報が刊行する「通信文化新報」(2025年4月14日号)に掲載されています。

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在職中であれば両方全額受け取れる。退職したら年金との調整が入るので減る場合も

Q.私は現在休職中で、傷病手当金を受給しています。65歳で老齢年金も受け取っているため、今後は無理に働くのではなく、退職も考えています。退職後も傷病手当金は受給できますか?

A.はい、退職後も受給できます。ただし、退職後も引き続き傷病手当金を受け取れる条件として2つあります。1つ目は、退職日までに継続して1年以上被保険者期間があること(任意継続の被保険者期間は除く)。2つ目は、資格喪失時に傷病手当金を受給しているか、受給できる条件を満たしていること。退職日に引継ぎ等で出勤すると労務可能となり、退職日は傷病手当金の対象日にならないため、その時点で中断となり、継続要件を満たさなくなってしまいますのでご注意ください。

Q. わかりました。長年、正社員で勤めてきた会社ですし、退職日に出勤しないようにすれば大丈夫そうですね。傷病手当金と年金はどちらも受け取れるという認識でよろしいですか?

A. 在職中は、年金受給者でも傷病手当金を満額受け取ることが可能です。ただし、退職してしまうと年金との間で調整が入りますので、傷病手当金が全く受け取れなくなる場合もあります。

Q.そうなのですね。それは困りました。傷病手当金がどのくらい受け取れるかどうかは、自分でも計算できるのでしょうか。

A.傷病手当金も年金も人それぞれ金額が違うので、具体例で説明しますね。まず、資格喪失後に傷病手当金を受給している方が、老齢退職年金等(老齢基礎年金・老齢厚生年金・退職共済年金)を受けられる場合、傷病手当金は支給されません。ただし、老齢年金等の額の360分の1が傷病手当金の日額より低い時は、その差額が支給されます。例えば、傷病手当金の日額が6,000円、老齢年金等を360分の1とした金額が5,000円だった場合、傷病手当金の方が高額のため、差額の1,000円が支給されます。

就業規則で休職期間を設けている会社もありますし、傷病手当金の期間中は社会保険料も免除にはなりません。ご自身の体調を見ながら、会社とよく相談されるとよいかと思います。

出典:協会けんぽみやざき「傷病手当金と老齢年金の併給について」(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/miyazaki/20130301002/20130228001/2901/r105.pdf