

※本記事は、千葉県最大の建設専門紙【日刊建設タイムズ紙】にコラム「社労士 曽我 浩の目(129回目・2025.10月)」として掲載されています。
千葉県最大の建設専門紙【日刊建設タイムズ社】https://www.k-times.com/
価格転嫁のチャンス 生活できる賃上げと経営の安定を
30年間の日本経済の停滞を打破するために、中小企業が価格転嫁して労務費の値上げを支援する文書が国土交通省、公正取引委員会、中小企業庁などから次々と発表されました。一方、公正取引委員会が石油製品販売会社8社を独占禁止法違反容疑で強制調査しました。「利益第一」の大企業に価格転嫁を認めさせることは多くの困難が伴います。
多くの大企業は、建前としては取引下請け企業を守るための「パートナーシップ構築宣言」を公開しています。現在は価格交渉をするためのチャンスであるといえます。実際50%弱の企業がコスト増に対して価格転嫁しています。しかし、建設業、トラック運送業は価格転嫁が進んでいません。年5日の義務付けられた年次有給休暇すらとれないとして、下請け企業が元請け企業を労基署の監督官に訴える事態も生じています。
政府は「労務費の適切な転嫁」のための指針で、発注者である大企業は交渉に応ずることを義務付けています。綿密な準備で取引解消覚悟で交渉し、運賃の値上げあるいは建設費の値上げを勝ち取ったところもあります。しかし多くの企業では何もせずに推移しています。政府の指針では大企業にも担当者任せにせず経営トップの責任で中小企業が価格転嫁できるよう迫っています。これらの公的な「指針を武器」に個々の中小零細企業が交渉してもなかなか成果が上がりません。そうではあってもこの際、勇気をもって交渉しやすいところから価格交渉すべきです。そういった情報を集め、業界としてマスコミ、国会議員、地方議員に国会なり地方議会で取り上させて中小企業を守るための世論を盛り上げていきたいものです。
育児・介護休業普及には全体の労働時間短縮が第一
新卒男子の8割が育児休業を取るといいます。一方、10万人近い人が介護離職しています。特に団塊の世代が全員75歳以上というわけですから介護問題はどなたにも関係します。育児・介護休業法の改正に伴い就業規則の見直しが必要です。特に育休がわかりにくくなっています。子供の年齢が小学3年まで、小学校上がるまで、3歳まで、1歳6か月、1歳2か月、1歳までなどそれぞれ対応しなければなりません。子供の年齢によって対応を整理すると少しはわかりやすいと思います。
労働局で無料のパンフレット「育児・介護休業法のあらまし」(225ページにも及ぶ)をいきなり読んでも多くの人はちんぷんかんぷんでしょう。どなたも権利として育児・介護休業をとれるようになっています。だからと言っての他の労働者が夜遅くまで残業していたのではとても安心して育児・介護休業をとれません。本気の労働時間短縮が必要です。
介護など福祉の進んでいるオランダの介護施設を視察した時、労働者の労働時間が本当に短いのに驚きました。残業はどうなっている?と聞いたところ「残業って何ですか」でした。
【協会けんぽ】被扶養者資格再確認をお願いします
協会けんぽでは健康保険の被扶養者となっている方が、現在もその状況にあるかを確認するため、毎年度、被扶養者資格の再確認を実施しております。
扶養解除の可能性の高い以下の対象者に絞って確認を実施します。
①健康保険の資格が重複している可能性が高い方
②同居が扶養認定の要件となっている続柄の方のうち、被保険者と別居している可能性が高い方
③令和6年中の課税収入額が130万円(60歳以上は180万円)の金額を超過している方
【リスト等の送付期間】 令和7年10月下旬(予定)
【リスト等の提出期限】 令和7年12月12日
すでに被扶養者資格を喪失していると分かった場合は、協会けんぽからの扶養調書の書類を待たずに削除の手続を行いますので、早めに当事務所へご連絡ください。
≪参照≫厚生労働省 職場における熱中症予防情報
【令和7年】最低賃金 千葉県は1140円!

令和7年度地域別最低賃金額の改定について全ての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました。
全国加重平均額は昨年度から66円引上げで、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額となり、改定額の全国加重平均額は1121円(昨年度1055円)となりました。
答申された改定額は、都道府県労働局長の決定により、令和7年10月1日から令和8年3月31日までの間に順次発効される予定です。
≪参照≫厚生労働省 全ての都道府県で地域別最低賃金の答弁がなされました
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