本記事は、(公社)千葉西法人会が刊行する「ほうじん 千葉西」(2024年4月25日号)に掲載されています。

【千葉西法人会】https://www.chibanishi.or.jp/kouhoushi.html

保険の谷間にいる中小企業経営者 -労災保険も健康保険も使えない-

 従業員10人規模の不動産業の社長が、物件案内中に階段で足を踏み外し、怪我をしてしまいました。健康保険を使い、整形外科で治療しました。

しばらくすると「協会けんぽ」から電話が来て怪我の内容を聞かれました。仕事で物件をお客に案内しているとき足を踏み外した旨を説明したところ、「それは労災です。労災保険に請求してください。」と言われました。

会社は労災保険に加入しているので、労災保険の療養補償給付の手続きをしました。しばらくすると労働基準監督署から「療養給付請求の不支給について」という文書が届きました。何を言っているかよくわからないので労働基準監督署へ電話しました。「仕事が原因で怪我をしたのに、なぜ労災保険が出ないのか」と尋ねると、労働基準監督署からは「あなたは社長で、労働者ではないので労災給付はありません。」という返事でした。

社長は「安い役員報酬で従業員以上に働いているのに、労災から給付が出ないのか」と訴えましたが、どうしようもありません。「労災保険も、健康保険も使えない。怒ったところでどうにもなりません。」結局、保険が効かず全額自己負担です。足をくじいただけなのに、90万円ほど負担することになりました。ある意味ではこれくらいで済んだので良かったのかもしれません。たとえば、頭を打ち脳の手術をした方は、数百万かかったというケースもあります。

中小企業経営者は必ず労災保険の特別加入をしましょう!

 こんな時のために民間の保険もありますが、最強の保険はやはり労災保険の特別加入です。

本来なら労災保険に加入できない中小企業経営者や、経営者と同居の親族も特別に労災保険に加入することができる制度です。

労災保険に特別加入するには「労働保険事務組合」を通さなければなりません。仕組みは面倒ですが、私は労働保険事務組合連合会の千葉県支部会長をしています。ご不明な点はお気軽にご相談ください。

※記事は一部、編集しています。