※本記事は、千葉県最大の建設専門紙【日刊建設タイムズ紙】にコラム「社労士 曽我 浩の目(140回目・2026.9月)」として掲載されています。

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建設業は精神障害の労災事案が極めて多い。「重点業種」に指定 ハラスメントによる精神障害急増 経営者は戦力喪失で甚大な損害 企業発展の原動力は労働者の健康的な笑顔 メンタル対策は「睡眠・運動・朝散歩」

 【労災認定されるための3つの要件】 実際の認定には高い壁!

 ①うつ病や適応障害、PTSDなど、医学的な診断名がついていること。 

 ②発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷(ストレス)を受けたこと。長時間労働やパワハラ、大きな仕事の変更など、出来事の強度が「強」と評価されること。 

 ③業務外の要因や個人の要因で発病したとは認められないこと。プライベートなトラブルや個人の素質だけで発病したとみなされないこと。

 認定要件は明確にされていますが、実際に認定されるには高いハードルがあります。「強い心理的負荷」などと言っても労基署の担当官は判断に悩んでしまいます。上の図で見られるように、労災申請されるものの多くは不認定となっています。唯一の客観的証拠は労働時間です。長時間労働への対策には事業主の決意が重要です。企業の発展には、労働者の明るく健康的な笑顔が不可欠です。労働時間短縮で労働者が自由に過ごせる時間を増やすことで、かなり多くの問題が解決できます。

 ハラスメント対策で労働局がチェックするのは、労働時間と、ハラスメント研修と相談窓口の設置です。経営者は従業員の睡眠時間に関心を持ってください。精神科医の樺沢紫苑先生も動画サイトで繰り返し訴えています。メンタル対策は「睡眠・運動・朝散歩」。あるメンタルクリニックに標語がありました。「語らいは最良の良薬」

建設業下請けの事務所労災保険の加入 厚生省の重点業種に! 一人でも雇えば、必ず事務所労災へ加入しましょう

 建設業下請けの事務所労災未加入中の事故が多発しています。建設業の場合、工事現場の事故はすべて元請け企業が責任を持ちます。しかし、みんなで現場に行くため下請けの会社に集まり出勤する時間は、通勤です。通勤災害には元請けの労災は使えないため、事務所の労災を使うしかありません。この他、資材置き場の仕事、下請けの事務員が銀行などへ行くときの転倒等も事務所労災の対象になります。

2026年10月からパートタイム・有期雇用のルール変更 ★3つの改正ポイント★

 2026年10月から、パートタイム・有期雇用労働者の待遇に関するルールが変わります。今回の改正では、正社員とパートタイム・有期雇用労働者との間の不合理な待遇差の解消を目指す「同一労働同一賃金」をさらに一歩進めるため、労働条件の明示事項の追加や「同一労働同一賃金ガイドライン」の見直し、企業に求められる雇用管理上の措置の追加などが行われます。今回は、この改正の背景と知っておきたい主なポイントをわかりやすくご紹介します。

ポイント①雇い入れ時の労働条件明示事項が追加されます

 パートタイム・有期雇用労働者を雇い入れたとき(※1)は、「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」「相談窓口」の4つの事項を書面の交付等により明示することが義務付けられています。今回の改正により、新たに「待遇の相違の内容・理由等に関する説明を求めることができる」旨を明示することが必要となります。パートタイム・有期雇用労働者に対して正社員との待遇の違いについて会社に説明を求めることができる旨を明示し、疑問が生じた際に相談を促すことを目的としています。(※1:労働契約の更新時も含みます。)

ポイント②「同一労働同一賃金ガイドライン」が改正されます

 このガイドラインでは、どのような待遇差が不合理と認められるのか等を具体例とともに示しています。今回の改正では、裁判例などを踏まえ、賞与、退職手当、各種手当、福利厚生についての記載が見直され、その考え方がより明確化されました。

 例えば家族手当については、相応に継続的な勤務が見込まれるパートタイム・有期雇用労働者に対し、正社員と同一の手当を支給しなければならないとされました。また、住宅手当については、正社員と同一の転居を伴う配置の変更があるパートタイム・有期雇用労働者に対し、正社員と同一の手当を支給しなければならないとされました。さらに、夏季冬季休暇については、パートタイム・有期雇用労働者に対し、正社員と同一の夏季冬季休暇を付与しなければならないとされました。

ポイント③企業に求められる雇用管理上の措置の内容が変わります

 企業に求められる雇用管理上の措置も見直されます。パートタイム・有期雇用労働者に対し、正社員との待遇の相違等について説明する際には、「資料を活用し、口頭により説明する方法」または「説明すべき事項を全て記載した分かりやすい内容の資料を交付する等の方法」のいずれかにより説明することが必要になります。

 また、賃金を決定する際には、職務の内容や成果、意欲、能力、経験をはじめとする要素を公正に評価し、昇給に反映するなど、公正な評価に基づいて決定することが求められます。

 さらに、正社員等への転換制度の内容や転換実績などをパートタイム・有期雇用労働者に明示するよう努めることや、それらをウェブサイトで定期的に公表することが望ましいとされています。

 2026年10月から施行される今回の改正は、どのような雇用形態および就業形態を選択しても、労働者が納得できる待遇を受けられるようにし、多様な働き方を安心して選択できる職場づくりを進めるためのものです。企業と働き手の双方が制度の内容を正しく理解し、雇用管理の改善に取り組むことが、公正な待遇の確保につながります。

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労災保険の落とし穴

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