※本記事は、千葉県最大の建設専門紙【日刊建設タイムズ紙】にコラム「社労士 曽我 浩の目(125回目・2025.6月)」として掲載されています。

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労働保険で最重要ポイントは「労働者かどうか」労働者性が否認された 「板金屋さんの転落死」が労災不認定

 労働保険の年度更新の時期です。労働保険とは労災保険と雇用保険を指します。労働保険の手続きで最も重要なことはその方が労働者かどうかです。私には苦い経験があります。板金工が屋根から落ちて死亡しました。労災申請したところ、平米いくらの出来高で契約しているので労働契約ではなく請負契約であるとして、労働者ではないので労災は不認定となってしまいました。この板金屋さんは期限までに現場に来ず、足場が取り払われてから梯子で屋根まで上り作業している時に転落死してしまいました。これも管理監督されていない証拠となり、労働者性が否認され労災不認定となりました。

社長の妻でも労働者性が認定され労災支給

 青果店の社長の奥さんがお店で転倒し大けがをしました。初めは労基署の労災保険担当者も労災を否認していました。ところが青果会社は奥さんといえど、他の労働者と同じように出勤簿を付け賃金台帳・労働契約書等をきちんと整備していましたそのため労働者性が認められ労災認定されました。

親子で経営しているリフォーム会社、息子の労災不認定されかけたところひっくり返して労災認定

 労災申請したところ、怪我した労働者の姓が社長と同じでした。会社に労基署から問い合わせがありました。「社長の息子だ」と答えたところ、「社長の息子」は労災は出ませんと言われていしまいました。私のところに連絡があったので、すぐに労基署に連絡し「労災不支給になるのは同居の親族の場合ではないのか。この人は別居だ。」と言ったところ労災から保険給付されるようになりました。

中小企業の社長、取締役、同居の親族は労災保険の特別加入を!

 社長は仕事が原因で傷病になっても労災は適用されません。取締役も基本的には労災保険は適用されません。健康保険も使えない労災保険も使えないとなると医療費は莫大なものになります。業務災害でも療養の給付は支給されるという厚生労働省の通達はありますが、非常に不明確な内容です。不慮の業務災害に備え、中小企業の社長、取締役は労災保険の特別加入することをお勧めします。さらに、特別加入するためには労働保険事務組合に加入する等の条件がありますのでお気軽にご相談ください。

「年金はつぶれる!」のデマに若者ほどダマされている!年金がつぶれるときは国そのものがつぶれるとき

 年金制度は5年ごとに見直されています。その5年目が今年です。今年は就職氷河期世代が年金受給年齢に達したときの対策で基礎年金に手を付けようと思ったところ、あまりにもひどい改正になることがわかりました。参院選挙前はまずい、ということで中身がない改正になっています。国の年金審議会の委員は年金の専門家や学識経験者です。この方たちの中で年金がつぶれると思っている人は誰もいません。マスコミのデマが広がりすぎました。大企業の内部留保は600兆円。これは労働者の汗の結晶です。このうちのほんの少しを年金に回せば年金問題は解決します。

労働保険の年度更新(労災保険・雇用保険)

 令和7年度労働保険の年度更新期間は6月2日(月)~7月10日(木)です。

 労働保険の保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間(これを「保険年度」といいます。)を単位として計算されることになっており、その額はすべての労働者(雇用保険については、被保険者)に支払われる賃金の総額に、その事業ごとに定められた保険料率を乗じて算定することになっております。

 労働保険では、保険年度ごとに概算で保険料を納付(徴収法第15条)いただき、保険年度末に賃金総額が確定したあとに精算(徴収法第19条)いただくという方法をとっております。

 したがって、事業主は、前年度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付と新年度の概算保険料を納付するための申告・納付の手続きが必要となります。これが「年度更新」の手続きです。

【出典】厚生労働省

 

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