※本記事は、千葉県最大の建設専門紙【日刊建設タイムズ紙】にコラム「社労士 曽我 浩の目(126回目・2025.7月)」として掲載されています。

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自由な時間が取れなくなる会社には目を向けない若者

 現在の大学生の就職活動は大学3年生から始まっています。ある大学の学生の「就職エントリーシートの作成」の授業の見学会があるので行ってきました。3年生の時から会社の調査を開始し会社の経営理念などの勉強をしているのに驚きました。

 学生に質問する機会があったので会社を選ぶ基準について聞いてみました。共通していたのは年間休日が125日以上固定残業代のないところを選ぶということでした。

 私は千葉大学の園芸学部という目立たない大学を50年以上昔卒業しました。そこの同窓会の理事をしています。先生方と話すチャンスがあったので学生の卒業後の進路について聞いてみました。卒業生の3分の1が大学院、3分の1が専門を生かすところ、残りの3分の1は休日が多い、労働時間の短いところへの就職ということでした。今の若者はなんといっても自由に使用できる時間だということでしょうか。若者が欲しければ本気で労働時間短縮を目指す時代です。

 残業が当たり前になっているのは日本だけかもしれません。オランダの介護施設の視察会に行ったとき案内してくれたのはオランダに20年以上在住している日本の方でした。この方にオランダでは残業はどうなっているか聞きました。返事は「残業って何ですか?」です。オランダでは残業などする人はいないのです。中国に行った時も日本語の堪能な中国人の案内人に残業について聞くと「残業って何ですか」と聞かれ残業について説明したところ「そんなことする人はいません」でした。

5日の年次有給休暇の取得は事業所の義務!~これ以上の放置は危険 一人当たり罰金30万円~

 建設業、運送業に対する労基署の臨検が増えています。長時間労働・時間外労働と並んで指摘が多いのが年次有給休暇5日の取得です。有給休暇が10日以上ある人はそのうち5日は労働者の権利ではなく事業所の義務です。これまでの労基署の臨検では指摘と教育的指導だけで終わっていました。ある建設業の会社には下請け企業が20社ほどあります。全部の下請けを呼び出すのも大変なので労基署の臨検で下請け2社と元請け企業の臨検がありました。依頼されて臨検に立ち会いました。5日取得が義務化されたのは2019年4月です。もう6年以上たっています。罰金制度もあります。5日とっていない労働者一人当たり30万円です。下請け会社の社長は元請け会社の担当者に食って掛かっていました。労働局は元請け企業も指導してきます。

 日本の大企業は600兆円もの内部留保があります。あるところにはきちんと要求すべきです。著名な労働法学者水町勇一郎早大教授が言っていました。「フランスには有給休暇の取得率という考えはない」ということでした。来日中のフランスの旅行者に「有給はどれだけありますか?」と聞いたところ、「シックスウィークス」でした。

令和7年度「全国安全週間」を7月に実施!

 7月1日から1週間は「全国安全週間」です。7月は一年で一番労働災害が多い月です。今年で98回目となる全国安全週間は、労働災害を防止するために産業界での自主的な活動の推進と、職場での安全に対する意識を高め、安全を維持する活動の定着を目的としています。

 令和6年の労働災害については、死亡災害は前年を下回る見込みであるものの、休業4日以上の死傷災害は前年を上回る見込みであり、近年、増加傾向に歯止めがかからない状況となっています。特に、転倒や腰痛といった労働者の作業行動に起因する死傷災害、墜落・転落などの死亡災害が依然として後を絶たない状況にあります。

 労働災害を少しでも減らし、労働者一人一人が安全に働くことができる職場環境を築くためには、令和5年3月に策定された第14次労働災害防止計画に基づく施策を着実に推進するための不断の努力が必要であり、計画年次3年目となる令和7年度においても、労使一丸となった取組が求められます。

 この機会に労災防止活動の大切さを再確認し、積極的に対策に取り組みましょう!

≪参照≫厚生労働省 令和7年度「全国安全週間」を7月に実施

熱中症対策の義務化(令和7年6月1日)

 熱中症のおそれのある作業を行う際に、「早期発見のための体制整備」、「重篤化を防止するための措置の実施手順の作成」「関係作業者への周知」が義務づけられました。

①「熱中症の自覚症状がある作業者」や「熱中症のおそれがある作業者を見つけた者」がその旨を報告するための体制整備及び関係作業者への周知。

②熱中症のおそれがある労働者を把握した場合に迅速かつ的確な判断が可能となるよう、(1)事業場における緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先及び所在地等(2)作業離脱、身体冷却、医療機関への搬送等熱中症による重篤化を防止するために必要な措置の実施手順の作業及び関係作業者への周知

◆対象:「WBGT(暑さ指数)28度以上又は気温31度以上の環境下で連続1時間以上又は1日4時間を超えて実施」が見込まれる作業

≪参照≫厚生労働省 職場における熱中症予防情報  

 

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