

※本記事は、千葉県最大の建設専門紙【日刊建設タイムズ紙】にコラム「社労士 曽我 浩の目(123回目・2025.4月)」として掲載されています。
千葉県最大の建設専門紙【日刊建設タイムズ社】https://www.k-times.com/
【交通事故の業務災害】知らないと損する!?労災保険・厚生年金・損害保険の関係 請求漏れをなくしましょう!
4月は全国交通安全運動が実施されます。中でも自動車事故などの交通関係の労働災害を交通労働災害と呼んでいます。 令和5年度の厚生労働省の労働災害発生状況によると、業務災害死亡事故のうち交通労働災害による死亡者数の割合は、19.6%と約2割をも占めています。
こうした中で不幸にして当事務所の関与先で交通事故で死亡災害が発生しました。高速道路で走行中、突風に遭遇し、車が横転したことによる事故です。死亡事故はあっては困る事故ですが、保険関係を知らないばかりに損する事例がありますので対応を紹介します。
この場合、自動車事故ですから当然、損害保険から給付があります。死亡事故ですから自賠保険から3,000万円の給付が通常あります。そうなると労災保険からは出ないと思っている人がいます。
「損害賠償(自動車事故の場合は自賠責保険等)が労災保険の給付より先に行われていた場合であって、当該第三者から同一の事由につき損害賠償を受けたときは、政府は、その価格の限度で労災保険の給付をしない」となっているからです。しかし、労災給付のうち特別支給金300万円は調整されず支給されます。遺族補償年金も最高7年経てば給付されます。しかし、時効は5年ですから7年経ってから請求するのではなく、すぐに請求する必要があります。さらに厚生年金からも遺族厚生年金が支給されます。
保険会社は厚生年金も労災保険もわかりません。労働基準監督署は厚生年金がわかりません。年金事務所は労災保険はわかりません。管轄が3か所になっているため請求漏れが多いのです。
問題社員の対応は就業規則の作成と周知から
毎日5分程度遅刻をする社員がいます。遅刻にはいちいちもっともらしい理由があります。しかし実際は会社の駐車場に来ているのにマイカーの中で何やらスマホをいじっていました。社長も5分程度ならいいかと思っていましたが入社間もない社員に不満が広がっていました。
社長も何とかしたいと思っていました。相談に見えたので「就業規則はどうなっていますか」と聞くと社長自身就業規則など見たこともないということでした。これでは注意するにも根拠がありません。
現在解雇を争っている裁判を傍聴しましたが、裁判所がまず聞くのが就業規則のどこに違反しているかです。バカバカしいかもしれませんが就業規則の服務規律に「時間を守ること」とか「挨拶は元気よくしよう」などと記載してもいいのです。みんなが読みやすい就業規則を作成しそれを周知します。軽いと思われる就業規則違反でも、はじめは口頭で、違反を繰り返すようであれば書面で、それでも改めない時は、就業規則に基づき訓戒などの処分をします。それでも改めなければさらに重い処分。という具合に進めていきます。倒産する会社には例外なしに就業規則がありません。就業規則は会社と社員を守ります。就業規則の作成、変更を検討されている方はご連絡ください。
令和7年度の雇用保険料率
令和7(2025)年4月1日から令和8(2026)年3月31日までの雇用保険料率はリンク先表示のとおりです。
なお、失業等給付等の保険料率は、労働者負担・事業主負担ともに5.5/1,000に変更になります。(農林水産・清酒製造の事業及び建設の事業は6.5/1,000に変更になります。)
また、雇用保険二事業の保険料率(事業主のみ負担)は、引き続き3.5/1,000です。(建設の事業は4.5/1,000です。)

出典:厚生労働省「令和7(2025)年度の雇用保険料率のご案内」(https://www.mhlw.go.jp/content/001401966.pdf)
健康保険料、3月(4月納付分)から変更!(協会けんぽ)
協会けんぽでは、毎年3月分(4月納付分)から健康保険料、介護保険料の見直しが行われ、先日、令和7年度の協会けんぽの保険料率が決定されました。健康保険料率は全国平均10%が維持され、介護保険料率は1.60%→1.59%と改定されます。
~主な支部の健康保険料率は、以下のとおりです~
千 葉:9.77% ⇒ ⇩9.79% 東 京:9.98%⇒ ⇩9.91%
埼 玉:9.78% ⇒ ⇩9.76% 神奈川:10.02%⇒ ⇩9.92%
茨 城:9.66% ⇒ ⇩9.67% 栃 木:9.79% ⇒ 9.82%
山 梨:9.94% ⇒ ⇩9.89% 北海道:10.21% ⇒ 10.31%
宮 崎:9.85% ⇒ 10.09% 高 知:9.89% ⇒ 10.13%
出典:全国健康保険協会 令和7年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat330/sb3130/r07/250214/)
令和7年労災保険料率について ~令和6年度と同率です~
令和7年度の保険料率は変更がありません。令和6年度と同率です。
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