本記事は、(公社)千葉西法人会が刊行する「ほうじん 千葉西」(2024年8月1日号)に掲載されています。

【千葉西法人会】https://www.chibanishi.or.jp/kouhoushi.html

心臓病ペースメーカー、腎臓病人工透析、精神疾患でも障害年金-内部疾患でも障害年金がもらえる可能性を知らない方多数-

 昔、税理士の方と一緒に旅行をした時のお話です。

 空港の保安検査場で、検査官が二人も来て税理士の方をあれこれ検査しています。理由を聞くと、心臓病でペースメーカーを装着しているとのことでした。私が「先生、障害年金をもらっていますか?」と尋ねると、「なんだそれ?」と仰り、何のことかわからないといった様子でした。

 厚生年金加入中に心臓病の初診日(その病気について、初めて医療機関を受診した日)があれば、障害厚生年金(国民年金のみの場合は、障害基礎年金)を受けられる可能性があることを説明しました。手続きをしたところ、その方が厚生年金加入中に初診日がありましたので、5年分さかのぼって障害厚生年金3級が支給されました。※年金請求は、5年間が時効です。それ以前の分については、遡ることができません。

 今後、約100万円の障害年金が毎年、支給されることになったのです。

 その他にも、若い看護師さんがリュウマチで悩んでいました。障害年金を請求したところ、障害厚生年金3級の支給が決定しました。※障害年金は、働きながら受給できます

 「障害年金」というと、手足が不自由であったり、目が見えないといった、外見上にわかる障害者だけが対象だと思っている方が多数います。現在、障害者手帳の発行部数は900万と言われています。ところが、障害年金を受給している人は251万人です。※障害手帳と障害年金は別の制度です。手帳を持っているからといって、自動的に年金がもらえることはありません。年金機構に申請したうえで、認められた場合に障害年金が出ます。

 障害年金で大切なことは初診日の証明です。この初診日において、保険料の納付要件を満たしていることが大切です。初診日の証明には、医師の証明が必要です。カルテが頼りとなりますが、これまで保存期間が10年であったところ、現在は5年に短縮されてしまいました。本来なら障害年金を受給できるはずが、証明ができないばかりに受給できない…といった方が結構多いのです。

生まれながらの障害者も対象(20歳前障害)

 またある話では、弟さんが生まれながらの障害者で、すでに40歳になられていました。残念ながら、20歳の時の診断書がありませんでした。

やむなく、「今から悪くなった(事後重症)」ということにして障害年金を請求。障害基礎年金2級の支給が決定しました。年間約80万円が支給されます。

しかし、本来なら20歳になった時から受け取れるはずであったので、1600万円の損害となってしまいました。

保険料納付要件

①初診日の前々月までの期間で、3分の1以上滞納がない(免除は問題ありません)

②初診日が令和8年3月末までにある場合、初診日の前々月まで直近1年間、未納期間がない

※記事は一部、編集しています。